日記の実践
バイオハッカーたちが日記について語ること
アスプリー、ヒューバーマン、フェリス、アティア、ジョンソン、ほか四人。バイオハッカー八人、二つの陣営、そして書くことを拒む人々。
バイオハッカーの世界は、外から見ると一様に見える。日の出にコールド・プランジ。空腹状態のトレーニング。スマートフォンの光より先に、角膜を通す光。プロトコルはポッドキャストや投稿で繰り返され、ふとした聞き手なら、この集団はすべてに合意していると思い込んでも仕方がないほどである。だが日記については合意していない。
公にされた記録ははっきり分かれる。ある声は日記を計測値の取得装置、つまり手首のウェアラブルを紙に拡張したものとして扱う。別の声は、心を整え、恐れに名前を付け、感謝の感覚を体に染み込ませるための道具として扱う。そして、試したが手放したと公言する一定数の人々もいる。三つの立場、いずれも誠実で、いずれも「記録されたものは改善される」という同じバイオハッカー的前提から論じられている。
これはキュレーターの読みである。八人の人物、一次資料、二つの陣営、そして書かない人々の集団。造られた枠組みは控えめだが、骨組みとして効く。データ・ロガーは日記を変数の記録として扱う。心拍計のそばで、ストップウォッチを開き、アルゴリズムに奉仕する形で書く。物語ロガーは日記を注意の記録として扱う。考えるため、思い出すため、あるいは一日が始められるよう心の武装を解くために書く。両方ともバイオハッキングである。だが同じ介入ではない。
データ・ロガー
データ・ロガーの立場は、身体を計測されたシステムとして、そして心を信頼ならない語り手として扱うバイオハッカーたちによって、最も明確に語られる。Bryan Johnson はその原型である。彼の公開プロトコル Blueprint は、この集団の残りを枠付ける一文で始まる。
I am certainly the most biologically measured person ever.
このプロトコルは、午前五時の身体組成、睡眠ステージ、安静時心拍数、連続血糖値、中心血圧、増大係数、テロメラーゼ活性、ApoB、そして多重スペクトル画像による皮膚年齢を記録する。内省的な書き物は文書中に二度現れるが、いずれも複数のクールダウン活動のひとつとして列挙されているにすぎず、意思決定の道具としては扱われていない。Johnson の表明された立場は、心こそが問題だ、というものだ。 Try to never let your mind make eating decisions on your behalf、と原文は読める。生活システムを構築し、それに依拠せよ、というわけだ。
Peter Attia は公的な台帳の上で Johnson の隣に座る。ApoB、 Zone 2 cardio、Oura の睡眠ステージ、DEXA スキャン、そしてキッチンスケールの横にあるアルコール記録。著書 Outlive は、ある程度までデータ・ロガー路線の宣言文である。テーゼは、データが「人がどう感じているか」と「人が実際にどうあるか」のあいだの隙間を露わにする、というものだ。意思決定日記の実践がその下を流れている。Attia の系譜はこの点で Mauboussin と予測コミュニティを経て、 HBR の Klein による二ページのプリモーテム にたどり着く。これは行動する前に予測される失敗様式を書き出す手法に名前を付けた論考である。[3] プリモーテムと脂質パネルは一つの実践の中に並んで座る。どちらも、結果が判明する前に紙に委ねられた記録である。
参考文献。
- 1.Emmons, R.A. & McCullough, M.E. (2003). Counting blessings versus burdens: An experimental investigation of gratitude and subjective well-being in daily life. Journal of Personality and Social Psychology 84(2), 377–389.doi:10.1037/0022-3514.84.2.377
- 2.Frattaroli, J. (2006). Experimental disclosure and its moderators: A meta-analysis. Psychological Bulletin 132(6), 823–865.doi:10.1037/0033-2909.132.6.823
- 3.Klein, G. (2007). Performing a project premortem. Harvard Business Review 85(9), 18–19.source
- 4.Pennebaker, J.W. & Beall, S.K. (1986). Confronting a traumatic event: Toward an understanding of inhibition and disease. Journal of Abnormal Psychology 95(3), 274–281.doi:10.1037/0021-843X.95.3.274
- 5.Slamecka, N.J. & Graf, P. (1978). The generation effect: Delineation of a phenomenon. Journal of Experimental Psychology: Human Learning and Memory 4(6), 592–604.doi:10.1037/0278-7393.4.6.592
- 6.Smyth, J.M. (1998). Written emotional expression: Effect sizes, outcome types, and moderating variables. Journal of Consulting and Clinical Psychology 66(1), 174–184.doi:10.1037/0022-006X.66.1.174
- 7.Tulving, E. & Thomson, D.M. (1973). Encoding specificity and retrieval processes in episodic memory. Psychological Review 80(5), 352–373.doi:10.1037/h0020071
- 8.Wagenaar, W.A. (1986). My memory: A study of autobiographical memory over six years. Cognitive Psychology 18(2), 225–252.doi:10.1016/0010-0285(86)90013-7